臨時聞得大君挨拶

第21代聞得大君として

この度、当主である父の命を拝し奉り、尚本家祭祀長として21代聞得大君に就かさせて頂くこととなりました。
正式には就任式を経て拝命となりますので、それまでの間、臨時聞得大君として祭祀を勉強させて頂いております。

厳密には、18代聞得大君の時代に琉球国は日本国沖縄県として移行したと共に、琉球王国の祭祀としてはその時代に終焉を迎えております。
戦後は便宜上、尚本家当主の娘が19代、20代と尚家の祭祀を嗣ぐ者として拝命されているに過ぎません。
これは、時代が移り変わり、国が無くなりましても、琉球を御守護下さる大神に仕えるという祭祀を直ぐに消滅させる事は出来ない、それ故の措置でございます。

先人が自然の中に神を感じ畏れ敬い、その真心を祭祀とした事は、歴史を紡ぐ大切な息吹でございます。

もしも、沖縄の県民の皆様方から、自然に御嶽祭祀を護っていく事が難しく、現代にそぐわないとなりますれば、祭祀を継承していくのではなく、閉じていく道筋なのかもしれません。
しかしながら、今現在は長い歴史の中の息吹を閉じていく事は容易で無く、私はただの一人でも、琉球の祭祀を護っていく者が存在する以上、尚家一門の本家として守り継ぐ責任があると思っております。今後の歴史の流れを見極めながら、沖縄の大神様にただただ粛々と御仕えしていく所存でございます。
どうぞ皆様におかれましては、温かくお見守りくださいますようお願い申し上げます。

臨時聞得大君
尚 満喜